総書記と首相の関係.....中国

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李克強

久し振りに中国の話でもしようと思います。
なんでそんな気になったかというと、
この秋、中国の指導部が大きく代わることになっていまして、
その前段階として、北戴河という海岸沿いのリゾートというか別荘地で、
内緒の話し合いがもうまもなく行われることになっているからです。
この北戴河会議、どんな人達が集まるかというと、
現在の中国共産党指導部の皆さん、
すなわち、政治局常務委員を中心とする政治局員20数名、
そのほかに、かつて指導部でブリブリ言わせていた引退した長老達、
江沢民とか胡錦濤とか温家宝とか、
生きていれば、李鵬とか....まあ、そういう皆さんが、
ざっくばらんに言いたい放題内緒話を北京から離れてしますよ、
ということなんです。
私、じつは、1984年の夏に海水浴と称して、
この北戴河へ行っているんですが、
当時から格式ありそうな中国料理店とか、
西洋料理を何気なく出す店とか、
まあ、そういうお店もあったりして、
さすがお偉いさん達の避暑地だなと思ったわけです。
ちなみに偉くない私は、
帰りの列車の指定券が取れず、列車も遅れたこともあって、
北京までの帰りは7時間立ちっぱなしでした。

さて、この北戴河での内緒会議、
今年は、秋に党大会があって5年に一回の指導部改選がある関係上、
次の5年は中国はいかなる指導体制となるか、という、
非常に生臭い権力闘争が行われるだろうと言われています。
中国は、とりあえず、毛沢東以後、
政治局常務委員による集団指導体制が建前になっています。
歴代のトップは、華国峰、胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦濤、そして現在の習近平です。
華国峰、胡耀邦、趙紫陽は悲しいことに当時、裏番を張っていた鄧小平に、
最終的にはつぶされることになりましたし、
江沢民はそういう鄧小平を見ていたので、しずかーにしていました。
胡錦濤はというと、鄧小平が死んだとたん、元気になった江沢民に睨まれ続けて、
これまた、個性ゼロみたいな10年をすごしたわけです。
で、習近平なんですが、最初は、なんだかなあ、昼行灯みたいだなあー的な動きだったのですが、
胡錦濤が江沢民憎しでかどうかしりませんが、
習近平のやることをみんな容認してきたので、
これ幸いと、江沢民つぶしをあっちこっちで行い、
権力基盤を作って行ってしまったわけです。

さて、中国の首相の話です。
中国のトップである総書記は、まあ、とりあえず、常務委員会のとりまとめ役ということで、
最終意志決定が任されている分だけ、
序列1位ということになっています。
外交や軍事面での発言力は強いのですが、
国内政治ということになると、中心になるのは序列2位の首相です。
たとえば、胡耀邦の時は、首相が趙紫陽だったので、
上手に役割分担なんかしてうまくいっていたようですが、
江沢民の時の最初5年は、李鵬という世間的には器ではない人がなっていたため、
副首相のほうがはるかに実力を持っていたこともありました。
このときの副首相は、鬼瓦というあだ名のあった 朱鎔基と言う人でした。
この方、李鵬が5年で退いた後、いきなり首相になってしまうわけですが、
いわゆる中国共産党的権力闘争にあまり関心がなく、
江沢民退場とともにあっさりと引退して、以後、ほとんど消息不明です、藁。
その次は、胡錦濤の代になるわけなんですが、
この人、地味な方で、それこそ、鄧小平の遺言でトップになったような人なので、
指導部内にいた江沢民一派が幅をきかせちゃったりして、
けっこう不遇だったかもしれません。
このときの首相は、 朱鎔基 のもとで副首相を務めていた温家宝です。
このひと、もともと趙紫陽の腰巾着だったとまあ私なんぞは思っているんですが、
それは、天安門事件の時、広場に集まった民主化運動の活動家達のところへ、
失脚寸前の趙紫陽が訪れた時、
すぐ後ろに何気に控えていたりしたからです。
失脚した男の腰巾着が、時を経て首相になってしまったわけですから、
いかに権力闘争の中で、上手に泳いできたかわかるというものです。
この温家宝のしたたかさは、首相在任中、
地味な胡錦濤に代わり、中国中に出没して、
民衆の中の首相を常にアピールしてきたことが良かったのか、
権力闘争に巻き込まれることなく、首相の10年を全うしたわけです。

さて、習近平の5年です。
序列2位である首相は、李克強です。
胡錦濤が首相に押し込んだといわれています。
彼も温家宝のもとで副首相を無難に務めていましたので、
政策通ということが言えるかもしれません。
底辺から這い上がってきた人の割には、権力欲も、あるいは押し出しも感じられず、
そういう点では個性不足は否めません。
朱鎔基や温家宝のようなバリバリやってみせるという気配は、
結局のところ、この5年間、ほとんど見せませんでした。
かつて、習近平と総書記争いをしていたといわれているのですが、
そうとは思えない淡泊さを感じてしまいます。
習近平があれよあれよという間に大化けしたのとは大違いです。
端から見入ると、この序列1位と2位、
全然かみ合っていないのではとそう思ってしまうわけです。
習近平的には、今の指導部の中では、唯一、
王岐山というかつて副首相を務めていたバーコードおじさんと馬が合っているようです。

で、やっと北戴河会議に戻ります。
政治局常務委員は、暗黙の了解事項として、68歳で引退、というのがあります。
現在7人いるわけですが、習近平と李克強以外は全員引退のはずなんです。
ところが、最近、とみに権力を集中しつつある習さん、
馬が合わない李氏をどっかに棚上げして、
たとえば、全人代委員長に横滑りさせて、
首相に盟友の王岐山を据えようと画策しているみたいです、北戴河内緒会議に向けて。
王さんはもうまもなく69歳になるんで、本来は退場なんですが、
習さんのごり押しがある.....とまあこういう話が北京あたりと飛び交っているわけです。
李克強としては、李鵬のように無能と烙印を押されたわけでなく、
横滑りするなんて許せないと思っていることでしょうが、
なにしろ、我が強そうにも見えないので....。

そんなこんなで、中国のトップと首相の関係、
なかなか過去を遡ってもおもしろいものがあります。
この8月から10月の党大会までの2ヶ月、
はたして、中国からどんな権力闘争のお話が漏れてくるのか、
なかなか興味深いものがあります。


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テーマ: 中国問題 - ジャンル: 政治・経済